前回、企業再生支援に必要な会社法務について少し書きましたが、今回は、企業再生支援のための基本知識について説明をしたいと思います。
まずは、「企業再生」とはなんぞやという事です。
「企業再生」とは、倒産または破綻に至りそうな企業の問題点を調査し、その問題点を一つ一つ解決するための方法を見いだして、体質を変えた上で体力を回復させ活力をよみがえらせるということです。
つまり、人間の病気治療と同じで、企業の病根(問題点)を治療して、体力を回復させるわけですが、薬による延命治療的な手法ではなく、外科的に病気が全身に広がる前に患部を切除するという抜本的な治療方法であると言えます。
この企業再生支援がなぜ行政書士の業務なのかという疑問をもたれる方もおられることと思います。この事については以前にも書いてきましたが、企業再生支援の中身には、様々な民事・商事に関する手続や行政手続が混在し、まさに法的知識を有する専門家の介在が必要不可欠なのです。なので、今、この分野では弁護士や税理士、中小企業診断士などが活躍をしています。しかし、これらの資格者は、個別の業態に対する専門知識は浅く、行政手続には疎いので、法的な処理や一般的な経営指導はできても、総合的なソリューション(問題解決手法)を提案できているとはいえないのではないかと考えています。
そこで、この分野で行政書士の許認可を通じてそれぞれの業態を見てきたという優位性や強みを発揮できる場があると考えているわけです。
企業が倒産または破綻に至る原因には様々なものがあります。放漫経営、経営者人材不足、売り上げ不振、収益性の低下、資産の目減りや不良資産の増加、過剰債務、過剰な設備投資、連鎖倒産などがあげられますが、これらの原因が複合的に起きている企業も少なくありません。
ところが、そのような企業の経営者の多くは、客観的に破綻懸念や実質破綻状態にあるにもかかわらず、希望的観測に基づいて問題解決を先送りしてしまい、最悪の事態に追いつめられることになるというのが通常のようです。
特に「建設業」については、急速に市場が縮小しているにもかかわらず、旧態依然とした体質のまま公共工事にしがみつき、「価格のみの競争」に巻き込まれて企業としての体力を失い、倒産に至るケースが年々増えています。