平成14年の行政書士法の一部改正によって、行政書士の法定業務として代理業務が出来ることとなりました。
代理権の説明については、行政書士かながわの7月号に私の論文が掲載されているので、是非お読みいただきたいと思います。
ここでは、代理権の活用事例を書いてみたいと思います。
行政書士の代理権は、ご周知の通り第1条の3第1号代理権(申請手続代理)と2号代理権(契約書等を代理人として作成すること)があります。
申請手続代理は、これまでの「提出代行権」という曖昧な概念から代理への変更を明示したものですが、これにより「代行」はあくまで「使者」の概念でとらえられることとなり、補正や行政窓口、審査段階での質問への応答や処理に関する協議は出来ないこととなりました。
私の事務所では、現在原則としてすべての手続を申請手続代理で行っています。申請書に代理人として記名押印し、委任状を添付している以外は、従来通り、補正に応じたり、許認可事務の処理について担当官と協議をしたり出来るという環境に変化はありません。
ただし、依頼者が虚偽の申し立てや資料の改ざんを行っているような疑いがあり、その点を指摘して説得を試みても自分の考えが正しいという主張を変えず、また、資料も補正に応じようとしない懐疑的な依頼者の場合は、業務を拒否する明白な理由がないので、本人の意思や提出された資料を基に書類を作成し、代行あるいは本人に提出手続をしてもらうことがあります。
この場合には、本人にそのことを十分理解してもらえるよう説明をし、当事務所では、補正に応ずことは出来ないし、質問に対する応答も申請者である本人がしなければならないという了解のもとに業務を行っています。
しかし、基本的には、代理人として申請手続を行うことが望ましく、懐疑的な依頼者に対しても、許可制度や根拠法令の説明を行い、将来問題が起きないよう適正な申請を行うよう説得をすることが専門家の責務であると考えています。