会社の設立や企業支援を行政書士に依頼されるケースが増えてきました。このことは、設立・起業支援の業務が行政書士の業務であることが、社会的に認知されてきたことの表れだと思います。
私の事務所でも、ここ数年の実績では年間15社前後の設立依頼があります。
会社設立関係書類の作成(登記申請書を除く)、特に定款の代理作成は行政書士の独占業務であり、法務・会計・マネジメントの知識を持った行政書士にとって、設立だけではそれほどでもありませんが起業支援をプラスすることによって、まさにコア・コンピタンス(核心的業務)と位置づけることの出来る業務となります。
会社設立に関する相談は、①全く新たに起業をする場合、②個人営業を法人成りさせる場合、③分社化等で、法人が新たな法人を設立する場合に大別されますが、いずれの場合も相談者の側に会社法務に関する知識がほとんどないという場合が多く、まずは、本人の起業意思や何をしたいのかといった基本的な意思確認をした後に、業の中身を検討しながら法人化する必要があるのか、法人化することによるメリット、デメリット、さらには、資本調達や経営計画などについて検討を進めなければなりません。また、建設業や宅地建物取引業、運送事業といった許認可を必要とする事業目的で設立(起業)しようとする場合には、それらの許可や免許を取得するために必要な要件や法的整備事項に関する検討も必要になります。
会社設立の依頼が入ると、手続だけを考えて必要事項だけを説明し、業務に入ってしまう人も中にはおられるかもしれません。が、「設立」とは、新たに法人組織を立ち上げて経営主体をつくり、営業を展開するということであり、そのことを依頼者に十分理解をしてもらい、手続を進めていく必要があります。そして、その中で会社法務、マネジメントや許認可に関する知識・情報を提供し、本人の起業意思の確認をしながら手続に入っていくことによってより実態にあった営業形態で起業していくことが出来るので、顧客満足度が高まり、起業後、経営の継続とともに固定した顧客となっていただける可能性が高まることとなります。
近年、会社設立は行政書士の業務だと言うことで、登記申請までやってしまう行政書士が増えているようです。しかし、登記申請書の作成、登記申請手続代理は司法書士の独占業務であり、無報酬でしかも本人申請で登記手続を行ったとしても、登記申請書を業として(反復継続して)作成した場合は、司法書士法違反として罰せられる可能性があるので、登記申請については、司法書士に依頼する必要のあることを是非、御理解いただきたいと思います。