前回「我々のコミュニティである行政書士会を重視しなければならない」と書きました。
「個々の専門知識はそれだけでは何も生まない。他の専門知識と結合して、初めて生産的な存在となる。知識社会が組織社会となるのはそのためである。企業であれ、企業以外の組織であれ、組織の目的は、専門知識を共同の課題に向けて結合することにある。」
(P・F・ドラッカー「プロフェッショナルの条件」P.31)
行政書士にとっての新たなビジネスモデル、新たなビジネススキームを考える場合に、このドラッカーの言葉は多くの示唆を与えてくれています。
こう書くと「行政書士は、公益性の高い職業であり、金儲けの手段ではない。」という声が飛んできそうですが、行政書士も事業者であり、経済社会の一員であることは間違いのない事実なのです。
私も行政書士の公益性を軽視するものでは決してありません。しかしそれは、業務の遂行を通じて専門家責任を果たすことによって社会に貢献するという立場の尊重であって、自らの事務所の経営を成立させることが前提となります。
行政書士は、これまでの規制社会の中で、それぞれの事務所がそれなりのマーケット(市場)を確保して事務所経営を行ってきたわけですが、規制緩和、行政や経済社会の電子化、事後救済・自己責任という大きな流れの中で姿を現してくる情報化社会という新たな社会システムの中で新たな市場を獲得して生き残っていくためには、それぞれの専門知識を結合し、国民・事業者に対するワンストップ・サービスを実現していくための「ネットワーク化された組織」が必要になります。
行政書士会は、その会則にあるとおり「行政書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務並びに-(省略)-を行うとともに、会員相互の緊密な結合によって、会員の権利を擁護すること」を目的とした組織であり、この激変期において制度を守り、新たな市場を獲得し、会員間のネットワークによって国民のニーズに応えるためのシステムを構築できる唯一の組織なのです。