前回まで、建設関係業務を例に出して、私たち行政書士の業務形態が、今後どのように変わっていくのかについて検証をしてきました。
本来であれば、すべての業務について検証をしなければならないのですが、それでは膨大になりすぎて、何を言いたいのかが分からなくなる可能性があるので、ひとまず、予測検証に基づいて行政書士の未来像を創造する作業に戻りたいと思います。
ここで、重視し再度確認をしなければならないのは、私たち行政書士は、行政書士法に基づく資格業であるということです。つまり、私たちの取り扱う業務は、行政書士法1条の2及び1条の3に規定されているのであり、私が今行っている未来予測に基づく業務形態の変化が、現行行政書士法による取扱業務のスキーム(枠組み)の中にはない。と、言うことを前提として理解する必要があります。
法律やそれに基づく制度整備は、常に事実行為が先行し社会的認知が得られる状況を反映して後追いで進んでいくものなのです。
だからこそ、私たちが新たな社会システムの中で生き残るための戦略的思考とそれに基づくビジョンが不可避的に重要なのです。
現行行政書士法1条の2は、従来の条文のままで、まさに“代書業務”を規定しています。これまでは、この規定によって行政書士という職業が定義づけられてきたと言っても過言ではないと思います。しかし、すでに“代書”という業務形態では通用しない時代環境となっており、それを受けて1条の3によって“提出手続代理”と“契約代理”という法定代理権が付加されました。
私たちは、このことを重く受け止める必要があります。
1条の3は、独占業務という形はとっていないのだけれど、法定業務として位置づけられているのは行政書士しかいないのです。
1条の2は、規制社会の中で我々の業務を形成するために有効に作用してきました。しかし、情報化社会或いは“事後救済社会”の中では、1条の3による業務をより発展させることによって社会的有用性の認知を得る努力をしなければならないと考えています。