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(20)行政書士業務の戦略的予測③

前回の建設関係業務の変化の予測の続きです。

  • 上記の変化によって、いわゆる「手引き業務」は皆無となり、申請手続代行業務(代理業務を含む)だけでは、行政書士事務所の経営維持は困難となることが高い可能性で予測できる。また、この変化を分析することによって、「電子申請が、紙ベースの延長線上にあり、当然、行政書士の独占業務となる。」という主張が空疎なものであることを理解し、イマジネーション力を高めて、現実の事態にどう対応し、解決策を持つのかという戦略を構築することが急務である。
  • 建設関係業務については、建設産業そのものが成熟産業(オールドエコノミー)となり、構造不況業種の一つとなっており、許可業者数も急激に減少している。この傾向はさらに続くことが予測される。しかし、建設産業に従事する労働者数600万人を吸収できる新たな産業の台頭はなく、現状では、建設産業そのもの構造改革を強く求められており、特に、建設関係業務を行う行政書士事務所の主要なクライアント先であり、地域経済を支えてきた地場建設業を中心に必死の生き残り策の模索が展開されている。
  • いま、地場建設産業に求められている改革の方向性は、従来型の「配分の論理」に基づく公共工事から競争原理に基づく建設市場への転換であり、これまでの「誰でもできる公共工事」の中でコアの技術力を持たない建設企業から「高い技術力と経営力」を持ち競争力のある企業への転換を求められている。同時に、工業化社会の終焉と情報化社会への移行の中で、従来型のヒエラルキー依存型の思考から、地域社会とのコミットメントを構築し、そこでの「信用と信頼」を獲得しなければ生き残れないという『パラダイムシフト』(枠組みの転換)が起きはじめている。
  • そこで、求められてくるのは「コンプライアンス(遵法)経営」であり、より透明度の高い会計・財務諸表の公開であり、それに基づく企業評価が必要となる。このことにより、建設業者の行政書士に対するニーズは、単なる手続代理から法務・経営コンサルタントとしての活動へのニーズに変化していくことになる。つまり、建設関係業務の市場は、「書類作成+許認可申請代理手続」を中心とする市場から「法務+会計+マネジメント」の指導・助言(コンサルティング)を求める市場へと確実に変化することになる。
  • したがって、このまま従来型の業務に固執し、業務環境や建設関係業務市場におけるニーズの変化を見過ごして、適切な対応ができないと、一部の先見性があり、地域社会や地域建設産業からの信用と信頼を獲得しており、且つ新たな業務環境に適応可能な行政書士を除く建設関係業務に依存する多くの行政書士(専業行政書士の最も大きな依存市場)が事務所経営を継続できない事態に陥ることが予測される。

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