前回の基本的事項に加えて、主な行政書士業務についてその変化を考察していきたいと思います。
ここで取り上げていくのは、建設関係業務、宅建関係業務、土地利用関係業務及びいわゆる“権利義務”関係業務です。
陸運関係や入管関係の業務については、筆者の業務経験がなく、従ってノウハウの蓄積或いは思考・予測するための情報・知識が不足しているため、ここでは取り上げていません。
また、これからの内容は、あくまで戦略的予測であり、小関個人の予測にすぎないことをあらかじめご承知おき下さるようお願いいたします。
(建設関係業務)
- 建設業許可制度については、基本要件等は当面変わらないものと思われるが、2004年度より電子申請の実施が予定されており、その段階での「代理申請システム」の導入は困難であると思われる。
この電子申請によって、紙ベースでの申請方式も残るが、この方式による申請件数は激減し、短い期間での電子申請への全面移行が予測される。 - 経営事項審査についても電子化が予想されるが、具体的実施時期は定かではない。しかし、添付書類、裏付証明等の取り扱いが確定すれば直ちに電子申請への移行が始まることは確実な情勢にある。
- 経営事項審査のうち、経営状況分析については、指定機関制度が廃止され、2004年度当初から登録制度へ移行する。このことによって、経営状況分析申請が行政書士の独占業務であるとの解釈が揺らぐ事態となっている。加えて、登録制度への移行によって、民間が参入し、競争環境が整備されていくので、電子化が加速することが予測される。
- 公共調達に関する「入札参加資格認定申請」手続については、各公共発注者による「電子入札」の導入によって認定手続の「電子化」についても拡大の傾向が顕著で、この特徴は、関連する部局や外郭団体、自治体同士の「一元受付方式」にある。つまり、元来紙ベースの手続では、各窓口での対面申請が基本であったので、依頼者の希望する発注者の窓口数に対応して申請件数があったが、この電子化によって、効率性が一挙に高まり、行政書士の取扱申請件数は一気に激減することとなる。