前回、これからの問題解決法としてコミュニティソリューションが注目されていると書きました。
そのことを是非、理解していただきたいと思うのです。
今、時代の流れは、大きくグローバルを思考する方向性(G軸)とコミュニティーを思考する方向性(C軸)という二つの流れに分かれて思考されています。
この表をよく見てください。
第Ⅰ象限は、グローバル指向を持ちながらもコミュニティ(地場)に立脚をしている中小中堅の製造業の思考の方向性です。
第Ⅱ象限は、グローバル指向が強いので、コミュニティにはあまり関心がありません。これがマーケットソリューションに当たる思考方法であると考えても間違いではありません。国際競争をしなければならない大企業の思考は、この方向性を持っています。
第Ⅲ象限は、きわめて閉鎖性の高い思考の方向性で、これをヒエラルキー思考であると考えることができます。この第Ⅲ象限の方向性は、新たな社会システムの中では全く枠の外になってしまい、この思考方法では情報化社会のシステムの中で生き残ることはできない(=ドボン)といっても過言ではないと考えています。
第Ⅳ象限は、地場でしか生きられない土着の産業、地場建設業やいわゆる地場産業といわれる製造業の思考の方向性です。行政書士も一部の国際的な活動をしている人を除いては、ここに入ると思われます。
つまり、地域の中で活動し、問題の解決策を探るためには、コミュニティを指向していく以外にはないのだということです。ここでいうコミュニティとは、特定のものを指すのではなく、「人々の集まり」と考えればよいのです。つまり、これまでのように中央集権的に誰かが決めた解決策を“上意下達”で実施するのではなく、また、評価をマーケット(市場)に委ねて、解決策を探るのではなく、人々の衆知を集めて解決策を見いだすという思考方法が大事なのです。
ここで、よく引き合いに出されるのが、コンピュータのOS(オペレーションシステム)を世界中の技術者によって作り上げたLinux(リナックス)の方式があります。これは、一人の学生がネット上に公開した技術を世界中の技術者がそれぞれの工夫を加えながらマイクロソフト社のWindowsに匹敵するOSとして完成度を高めたという経験に基づくものなのですが、ここで使われた問題解決の方法が、コミュニティソリューションという方法を編み出したと考えられています。
詳細については、是非、金子郁容著『コミュニティソリューション』を是非お読みいただきたいと思います。
次回は、このコミュニティソリューションの基本となるソーシャルキャピタルについて書いてみたいと思います。