前回は、«ゼロベース思考»を解説してみました。この«ゼロベース思考»を実践するためには、『顧客にとっての価値を考える』と言うことが基本であることを是非、理解してもらいたいと思うのです。
今回は、次の«仮説思考》について考えてみたいと思います。
«仮説思考»とは、限られた時間、限られた情報しかなくとも、必ずその時点での結論を持ち、実行に移すと言うことです。 とにかく早く結論を出して、早く実行に移す。そして、その結論を早く検証して次のステップにつなげていくことが重要です。
つまり、P(プラン・計画)→D(ドゥ・行動)→C(チェック・検証)→A(アクション・実施)のサイクルを自分自身の思考の中で“早く”回すと言うことなのです。
これからの“情報会社会・脳化社会”の中では、このスピードが命運を分けます。時間をかけて綿密に調査・分析をして計画を立てることよりも、ざっくり、おおざっぱでも良いから短時間であるレベルの結論を出して検証可能なドゥに結びつけることが必要なのです。
この場合、“ベスト”でなくとも“ベター”で良いという割り切りが必要なのですが、変化の激しい時代にあっては、検証を重ねている間に前提条件がどんどん変わってしまう可能性を否定できないので、“より早く”を追求しなければならないのです。
この«仮説思考»を実践していく上でのポイントは、
- アクションに結びつく結論を常に持つ → 結論の仮説
最初は、当てずっぽうでもよいから“こうすればこうなる”という結論を出す。乱暴なようですが、何がなんでも結論を出すことが仮説思考の始まりなのです。 - 結論に導く背後の理由やメカニズムを考える → 理由の仮説
「何がなんでもその時点での結論」を持とうとすると、その問題の背景にはどういうメカニズムが働いているか、どういう枠組 みで問題を考えるのか、なぜそう言う枠組みでとらえたのかという理由を自然と考えるようになります。それによって、軌道修正が可能になり、その枠組みの中での要を押さえることが出来ます。 - 「ベスト」より「ベター」を考える→スピードの重視
解決できる可能性を必ず頭の片隅に残しながら、ベターな解決策が見えたらすぐに実行に移してみることが重要。ベストな策は追いかければ追いかけるほど時間もかかるし、行き詰まるというリスクが大きくなることが多い。
これまで説明した«ゼロベース思考»も«仮説思考»も戦略的問題解決手法の一つです。私が、なぜここで、このような戦略的思考を持つことの必要性を訴えたいかというと、私たちは、今という情報化社会への時代の変化の中にあって“新たな行政書士像”を創造し、その担い手として発展していかなければならないと考えるからなのです。
従来型のまま思考では、制度そのものが瓦解してしまう可能性を否定出来ないことは誰の目に明らかだと思います。だからこそ、戦略的な思考を持って未来を創れるプロフェッションとしての行政書士が必要なのです。