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(12)新たなプロフェッションの形を考えよう⑥

 前回、行政書士としての新たな能力の一つとしての“戦略的思考”が重要になっていると言うこと、そして、その基本となる思考方法が〈ゼロベース思考〉と〈仮説思考〉であるということを書きました。
 この二つの基本的思考方法について少しつっこんで解説を加えてみたいと思います。

«ゼロベース思考»のポイント
ゼロベース思考のポイントは、

  • 自分の狭い枠の中で否定に走らない。
  • 顧客にとっての価値を考える。

という2点です。

 ゼロベース思考の妨げになるのは、«既成の枠»です。一つ目のポイントは、その“枠”の中でも、自分自身ではめてしまっているタガを取っ払ってしまえと言うことなのです。
 問題が明らかになったときに、最初から自分の経験則や現に持っている知識の枠内で“解決は難しい”と決めつけて、そこから出発するのではなく、もしかしたら自分の設定した枠の外に解決の可能性があるのではないかと考えるのが<ゼロベース思考>なのです。
 自分の矮小な枠内で思考をすると、どうしても、“難しい”ことを前提に、出来なかったことへの言い訳を考えようととしてしまいがちです。
 それは、従来型の思考では、ノックアウト・ファクター(これがだめなら所詮何をやっても絶対にだめという要素)を何か一つでも見いだしてしまえば、物事を否定することは比較的容易であるという経験則によって、恣意的に“考える枠や対象”を狭くするという傾向があることを否定出来ないからだと考えられます。

 <ゼロベース思考>では、自分の狭い枠を超えて考えようとするため、解決策を見いだす可能性が高まるばかりでなく、従来の枠の外に可能性を求めるという前向きな姿勢を創り出すことが出来るのです。
 顧客・依頼者からビジネス上の課題を解決するための支援・アドバイスを求められたときには「この課題を解決するための具体策は必ずある」という前提で、ゼロベースで考えてみて欲しいと思うのです。
 もちろん、そのためにようする作業量やエネルギーは、従来型の思考に比べて格段に大きくなることと思いますが、行政書士が、新たな社会システムの中で新たなプロフェッションとしての地位を確立するためには、そのための最低要件としてこの«ゼロベース思考»を実践するべきであろうと考えています。

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