Ozeki - Letter

第104号

Ozeki-Letter

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【業務情報】                      Vol.4
~行政書士の司法制度参入を考える~

●読者のメールから
前号の〔今週の一言〕へのご意見を頂きました。今回はそれを紹介して、私の考えを書いてみたいと思います。

『私は行政書士がADRの代理権を持つことを望んでいる中の1人です。でなければ、わざわざ行政書士になった意味がありません。代理で紛争を処理するだけなら、それが出来る人なら、行政書士じゃなくても「出来る人」が出来ます。
行政書士として権利があることが、まず重要だと思います。』とした上で、
『同じ資格でも、その中でみんな同じに仕事をするわけではないのでとりあえず「ADRの代理権の権利取得」にがんばっていただきたいと思います。』と結んでいます。

確かにその通りだと思います。が、私が「ADR代理権の獲得は懐疑的」と書いたのは、組織全体の取り組みとして、制度的な獲得を目指すのであればそれに向けた戦略が必要であり、それに対応できる“受け皿”を作らなければならないと思うからなのです。
前号でADRにおける専門性を検討しましたが、行政書士が代理人として紛争解決に資することの出来る専門性を身につけるにはどうするべきなのかをまず考えなければなりません。
今、その議論は、法的専門性を身につけることに中心がおかれ、大学院研修などが実施されていますが、今後顕著になってくる法科大学院卒業生の出現よる“大競争”時代に弁護士や他の隣接専門職と同じ方向で法的専門性を競っていけるだけの“コア”(核心的)を持ち得るかどうかを考えなければならないと思うのです。そうでない限り、自分で自分の首を絞める事態を招きかねないと考えています。
そこで、戦略を考えるとするならば、法的専門性を追求するのではなく、契約代理の業務を確立し、実績を積み上げ、その専門性をもってADRに参入していくことが必要なのだという前提を構築しようと思うのです。
契約代理という業務は、交渉能力や人間性が問われる業務です。それらは、またADR代理人としても必要なものなのです。いくら法律知識を高めても、交渉能力がなく、豊かな人間性をもたない人が紛争状態にある当事者の中に入って、片方の代理をしようとしても火に油を注ぐ結果を招来する危険ばかりか、誤った方向に導いてしまう危険すらあることは想像に難くありません。
上記のメールにあるように『行政書士として権利があることがまず大事だ』と思うのであれば、まず、制度としての行政書士法第1条の3の法定業務を個々の行政書士の業務として確立することが重要なのです。組織は、そのための環境作りやマーケティングをしていかなければならないと思うのです。
“契約代理”は、弁護士と行政書士だけに許された法定業務なのです。これこそが、ADRにおける行政書士の専門性を確立できる道であると確信しています。
(続く)

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【会と制度を考える】
~行政書士会の組織論~

連載④は今回紙面の都合によりお休みします。次回をお楽しみに。

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