Ozeki - Letter

第102号

Ozeki-Letter

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【業務情報】                      Vol.2
~行政書士の司法制度参入を考える~

前回、司法制度参入を考える上での筆者の基本的なスタンスを説明しました。敢えて繰り返しますが、司法制度参入そのものを否定するつもりは毛頭ありません。ただ、きちんとした現状認識とそのための戦略的思考が必要だと思うのです。

司法制度参入への課題

まず、行政書士制度と司法制度の関係を考えないわけにはいきません。行政書士制度の根幹をなす行政書士法は、どの法体系にあるかということです。弁護士法、司法書士法は、もちろん司法の中に位置づけられていますが、行政書士法は、行政法の中の「行政組織法」の中にあります。
このことは、明治・大正時代にさかのぼりますが、明治5年8月の太政官布告無号達「司法職務定制」によって、弁護士の前身である「代言人」と司法書士の前身である「代書人」が出来、当時の司法省の管轄となりましたが、行政書士の前身である「行政代書人」は、大正9年に当時の内務省令によって出来た「代書人規則」によって規律され、当然内務省の管轄となったことに由来していると考えられます。(制度の歴史については、行政書士かながわ7月号に掲載予定の拙文をぜひご覧下さい。)
一笑に付される方もおられますが、この法体系の違いは、当然司法制度参入の障壁となっていることは想像に難くありません。

次に、この法体系の違いを認識しながらも、尚、司法制度への参入を指向する場合、他の資格制度と同等以上の専門家性を見いださなければなりません。行政書士法に定める業務は、基本的に官公署提出書類を含め世の中の法的文書に作成は何でも出来るが、他の法律によって制限されるものについてはしてはならないという体系になっているために、極めて幅の広い職域をもっており、弁護士以外の業務が限定列挙されている他の資格制度とは際だった違いがあります。そのため、司法制度参入に当たってはその専門家性が問題となってきました。このことも、実は、行政書士制度が官主導ではなく、元々は市井の有識者が文盲社会の中で行った代書・代筆行為が国民の要求によって徐々に制度化され、議員立法によって成立したという歴史的な経緯が創ってきたものであると考えられます。その名残が今も法第1条の2に残っている「報酬を得て」という字句なのです。
この専門家性という壁をどうしたら打ち破っていけるのかは、行政書士法に基づく制度の本質的な性格を変更せざるを得ない重要な問題なのです。
(続く)

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【会と制度を考える】        連載②
~行政書士会の組織論~

前号では、行政書士会という組織の定義付けを考えてみました。
組織とは、最も簡単に表現をすれば「ある一定の目的を持った人の集合体」です。その集合体が組織としての体をなし、成果を上げてそれを継続していくためには、マネジメントが必須となります。

行政書士会という組織は、NPOなどのように一定の意思と目的を持った人々が自由に集まって出来た組織ではなく。前回も説明したようにその目的が法定されており、構成員である行政書士も開業して業務を行うためには行政書士会に入会しなければならないという強制会制度のもとで会員となっているので、組織に対する帰属意識はそれほど高くないのが現実であろうと思われます。従って、他の組織にはない様々な問題も解決していかなければならないことになります。

組織では、知識や経験の集積・蓄積が出来ます。また、人が集まることによってその人々がこれまでに経験してきた膨大な経験を交流しあったり、相互に情報交換をすることによって、互いの情報・知識を拡げることが出来ます。行政書士個々のもつノウハウや情報量は限られていますが、組織はそれを集積し、共有することが出来ます。組織があってこそ、人類は知識を後世に残しうるとさえ言われています。
また、個々の行政書士にとっては、行政書士会という組織に参加することによって「社会参加」をするということになります。人間は人と関わりを持ちたいという「社会的欲求」をもっています。それを組織に参加することによって満たすことになります。
さらには、組織は、組織に参加することによって、人間的成長が促され、個人の目標が達成されるという「自己実現の場」でもあります。
これまでの行政書士会は、この組織の利点を意識して運営されてきたとは言いにくい面が少なからずありました。今後、行政書士会に貢献することが個人の目標達成に繋がると考えられるような、また、個々の行政書士の目標が会の目標と重なるようなマネジメントをしていかなければならないと思うのです。
(つづく)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

1

2

3

最近の記事

  1. てんめい尽語
  2. てんめい尽語
  3. てんめい尽語
  4. てんめい尽語
  5. てんめい尽語
PAGE TOP