◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【業務実践講座】 IT時代の法務知識⑨
~電子文書法~
電子文書法(e-文書法)とは「民間事業者が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」という法律名で、本年4月1日に施行されました。この法律によって帳票類や財務諸表、取締役会の議事録など、商法や税法などで企業に保存が義務付けられている文書について、電子化された文書ファイルでの保存を認められることとなり。また、紙の文書をスキャナで読み取った画像データも一定の要件を満たせば原本として認められます。
これにより、ビジネスを進める上で必要とされる文書・帳票類の印字・流通・保存にかかるコストが大幅に削減され、企業間商取引の電子化がいっそう推進されると期待されています。
同法成立に伴い、銀行法や証券取引法など、複数省庁にまたがる251の関連法が一括改正された。医療機関のカルテなども対象に含まれるが、損益計算書や貸借対照表、高額の領収書などは対象から外されたため、引き続き紙の文書を作成・保存しなければならないこととされています。
【注目すべきポイント】
・紙での保存を義務付けている書類の電子化に関しては、従来から電子帳簿保存法などの個別の法律単位で行なわれてきた。今回の法案により、民間の負担を軽減するため、紙媒体での保存を義務付けている複数省庁にまたがる200を超える法律のうち、一部の例外を除き一括して電子文書での保存が可能となる。これにより、初めから電子文書として作成された書類の保存だけでなく、紙で作成された書類をスキャナでイメージ化する場合も個別の法令が求める一定の技術要件を満たせば原本とみなすことができるようになる。
・法律の対象は民間だが、自治体に対しても、条例や規則で民間企業などに義務付けている保存などについても、法律の趣旨を踏まえた努力義務が盛り込まれている。行政機関が文書を電子化したメリットを真に活かすには、自団体内で行なう文書の電子化だけでなく、最終的に民間と行政でやり取りする文書の電子化まで関わってくる。日本全体で電子政府の成果を享受するためには、官民が一体となって電子化に取り組んでいき、その動きが加速していくことが期待される。
(つづく)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆