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【業務実践講座】 IT時代の法務知識⑦
~デジタル化で生じる法律問題(2)~
C.可読性(見読性)
書面の電子化を巡っては、この可読性が大きな問題となってきました。
それは、紙ベースでの文書概念では、可読性、可視性は文書の本質的要件とされてきたので、直接目で見ることの出来ない電子データを概念的に文書と見なすことが出来るのかと言うことでの議論なのです。
(見読性の課題)
電子文書は、電磁気録として、あるデータ形式で保存されるものである。その内容は、適切なソフトウエアーの助けを借り、ディスプレイに表示又はプリントアウトすることなどにより初めて確認できる。そのため、電子文書には、次のような問題がある。
スキャニングによりイメージ化文書を生成する場合、スキャナーの設定(光学解像度、階調、色調等)を適切に行わないと、紙に書かれた内容の一部(場合によっては全部)が読み取ることが出来なくなってしまう。また、データ量を減らすため圧縮を施す場合には、圧縮方式や圧縮率を適切に定めないと、内容の一部又は全部が判読できなくなってします。
また、電磁的記録を保存するデータ形式には、特定の企業によって定義され、フォーマットが公開されていないものの多数ある。こうした形式では、当該企業がそのサポートをやめた場合に、適切な表示が出来なってしまうというおそれがある。こうした問題は、OSやソフトウェアーを交換又はアップグレードした際にも生じうるものである。
(以上、文書の電磁的保存等に何する検討委員会中間報告より)
現在では、この議論は、「電子文書の内容が必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて直ちに表示又は書面に出力できるように措置されている」ことによって可読性(可視性)は確保されると言うことで、電子文書を従来の文書概念に整合させています。
(つづく)
※ 本日、「電子文書法」が施行されました。この法律の施行によって、法律によって義務づけられている文書の保管が、電子データによる保管が可能になりました。
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