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【業務実践講座】 IT時代の法務知識⑦
~デジタル化で生じる法律問題(2)~
前回から、文書のデジタル化によって生ずる「書面としての問題」の検討をしています。前回は、aとして原本性の検討を行いました。今回は、引き続き、「書面性」の検討を行います。
b.書面性
書面性が問題となるのは、法律上書面の作成が義務づけられている場合や、書面の作成・交付が法律行為の成立要件となっている場合(要式行為)に、デジタル化された文書を書面と認めうるかということがあります。
この点については、2000年11月に成立した「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」によって、紙を前提にした「書面交付」が必要条件となっているような場合においても、ネットワーク上での取引等が可能となっています。
従って、要式行為でない「諾成契約」の場合に作成される書面についても紙を前提にした書面と同様の効果が認められています。
また、紙ベースで実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要のある場合においても、「電子署名法」によって、電子文書に電子証明書を付加することによって同様の効果が得られるとしています。
● 電子署名法第2条1項の電子署名とは
「自ら当該署名措置を講じたものであり、且つ、改変が行われていないかどうかを確認することが出来るものであることで足りる。」従って、認定認証局以外の認証局により発行された公開鍵証明書を用いる電子署名等も政府奨励等により特段の制限が課されていない限り許容される。また、公開鍵暗号方式以外の方式によっても本要件を満たすことはあり得る。とされています。
行政手続についても「要式性」を要しないとされていますが、行政手続法上、申請や手続において書面によることが前提となっている規定があります。行政手続の電子化については、2003年1月施行の「行政手続オンライン化3法」によって法的整備がなされています。
行政手続における電子署名(指名等を明らかにする措置)は、当該手続を所管する行政機関の指定する特定認証局又はブリッジ認証局の発行する電子証明書ということになります。
(つづく)
次回は、可読性(見読性)について検討します。
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