Ozeki - Letter

第92号

Ozeki-Letter

【今週の一言】 3/2(水)の『てんめい尽語』から
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【行政書士の司法研修】
日本行政(日行連広報誌)3月号で募集を始めた「平成17年度司法研修・受講のご案内」に対する抗議やら意見でkgid(ML)が賑わっています。
それらの意見が、受講出願資格を「平成17年3月末現在で、既に大学または大学院を卒業している全国の会員」に限定していることに集中しており、「平等の原則に反する」とか「大学院の単位をもらってどうするの」とかの意見が多いようなのですが、問題の本質からすれば当然出てくる意見のように思うのです。

今回の司法研修、科目についてはひとつが「家事審判法/民法の親族・相続」、二つ目が「行政救済法」と言うことで、なかなかいいところをついてきたな。と、思ったのですが、「大学院科目等履修生」としてということで、専修大学大学院を利用することによって資格制限をせざるを得なくなっているところに大きな問題があります。

行政書士制度が、何らの資格制限を設けていない状況で、司法制度参入に道を拓くための研修という能力担保措置に受講資格制限を設けることは、有資格者を不当に差別し、参入機会を奪うことになるという意見が出てくるのは当然であり、行政書士制度と同様に受験資格に制限を設けていない司法書士や社会保険労務士、土地家屋調査士等の司法研修は、弁護士、裁判官、官僚等のプロフェッションである外部講師を招き、独自のカリキュラムを作って実施されているのです。

日行連は、弁理士や税理士が同様の「大学院履修生制度」を利用しているのを見て、「大学院の履修単位を得ることによって社会的な能力担保を確保できる」と考えているようですが、税理士、弁理士制度には受験資格があり、会員のほとんどが大卒者という現実があり、行政書士制度とは同一視できないことは明らかです。

さらに言えば、今更学生のような勉強をし大学院の履修単位を取ることにどれほどの社会的な価値が見いだせるというのでしょうか。実際の実務は学問的な理屈では動いていないというのが実態であり、プロの実務家として司法参入をしていくのであれば、当然その道のプロのノウハウや思考を習得する必要があるのだと思うのです。

今、必要なことは、明確なビジョンと戦略性をもって司法制度参入を考えることだと思うのです。他士業と足並みをそろえるとか、置いて行かれてはならないとかの発想では、“皆が同じ方向で走っているときは『カス』しか得られない”ということになってしまいます。行政書士の強みは何か、これまで蓄積されてきた資源は何かを考え、時代の変化の中にできてくる「スキマ」でその強みを発揮することが重要なのだと考えます。その“スキマ”にこそ「新たな基準となる分野」を見いだし、新たな市場を獲得する地平が開かれるのだと確信しています。

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【Ozeki-Letter】            2005. 3. 4【第92号】
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【発行人】 行政書士法人 小 関 事 務 所
代表社員 小関典明(小田原支部会員)
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