Ozeki - Letter

第72号

Ozeki-Letter

【オピニオン】                    (7)
~「使命」を検討する-1-~

前回、P・F・ドラッカーの著書「非営利組織の経営」を引用して、行政書士会が直面していることは、「他に抜きん出て、新しい基準となりうる分野は何か」に関する検討が重要な課題であることを提起しました。

行政書士会の一般的な使命として、「行政書士の業務に対する指導・助言、情報提供」と「行政書士制度の維持及び適正な運用の確保」をあげて説明をしてきましたが、現代のような時代の激変期にあっては、さらに、「情報化社会に適合した業務分野を開拓し、制度の社会的有用性を確保する」ことが加えられなければならないと考えています。

20世紀の工業化社会の中では、「代書的業務」を主体とした事務所経営が充分に成立し、それによって制度的発展を遂げてきたわけですが、その工業化社会が終焉を迎え、それと共に行政書士の業務も情報化社会に適合した形態への変化を求められている。と考えるべきなのではないでしょうか。

今、行政書士会を含め、各士業団体はこぞって司法制度改革への参入を目指して運動を展開しています。それは、訴訟代理の獲得であり、ADR機関としての認定であり、または、出廷陳述権の獲得であったりという事後救済制度への参入であるわけですが、果たして、司法制度への参入が私たち行政書士の「機会」であり、国民の行政書士に対する「ニーズ」であるのかや、行政書士制度がその能力を担保し、そこに行政書士としての強みを発揮できる場があるのか、さらには、本当に信念を持って、組織が一丸となって取り組めるのかどうか等々についてきちんとした議論に基づいた検討が必要だと思うのです。

今という時代の激変期にあって、他の士業がこぞって司法制度改革によって生まれる新たな制度への参入を目指している中で、行政書士にとって「他に抜きん出て、新しい基準となりうる分野」とは、一昨年の改正によって新たに業務として位置づけられた「契約代理」の担い手であり、それを根拠にした「予防法務の専門家」という強みを発揮できる分野の獲得であろうと私は確信しています。

何故なら、各士業が事後救済制度の参入に走っているので、未然に紛争を防止し、あるいはリスクを回避するための予防法務の分野が“スキマ”となっており、自己責任社会の拡大する中では、国民のニーズはそこに集まると予測されるからに他なりません。
(続く)

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【業務実践講座】
~会社法務の基本を知る~

会社法務に関する知識は、行政書士が企業再生支援や起業支援あるいは経営支援を業務として行っていく上で必要不可欠なものです。

会社法務は、商法の会社法が基本となるわけですが、実際の実務では、商業登記法や会計、民法などの理解も当然に必要になります。

特に商業登記法については、行政書士の試験科目にはありませんし、手続法なので多くの行政書士がこの法律を理解しないまま実務を行ってはいないでしょうか。

登記実務については、司法書士の独占業務ですが、行政書士が行う会社法務に関する業務は、多くの場合、登記と密接に関連しているので、商業登記法に関する一通りの理解は必要です。

ただし、登記と密接に関係しているといっても、私たち行政書士が作成する定款や議事録などは、登記を目的として作成するのではなく、商法上当然に会社が作成し、備えおかなければならないものとして作成されるものであるという認識を持って業務を行うことが重要です。

従って、商業登記法によって定められている登記申請書の添付書類とは、当然に会社によって作成され、備え付けられた議事録等を添付するということなのです。ただし、実務上は、実際に押印された陰影のあるものを求められるので、会社備え付け原本に加えて登記用に必要部数を作成することになります。
(つづく)
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