【オピニオン】 (5)
~改革のための意識を持とう~
行政書士会は、「事業者団体」であり、会員行政書士にとって必要な業務上の指導、助言、情報提供を使命としている。ということを説明し、前回では組織改革の必要性について書きました。
個々の行政書士の使命については、行政書士倫理綱領で「行政書士は、国民と行政の絆として、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命とする。」とされていますので、行政書士会は、会員行政書士がそのような使命を果たすために必要な支援活動を行うことが組織としての使命と言うことになります。
組織は、このような使命を明確にすることから改革を始めていかなければなりません。使命が明らかでなければ何のための改革かが解らなくなってしまい、役員の自己満足や訳の分からない形だけになってしまったり、最悪の場合、掛け声だけで終わってしまうことになり、会員個々の満足は決して得られない結果になってしまうと思われるのです。
行政書士会という組織は、まさに、これからの社会に対応していくための改革を迫られています。いま、本気になって組織としての使命を達成していくために必要な基準に基づいて様々な見直しを行い、問題点を明らかにして、一つ一つ問題を解決していかなければ情報化社会という新たな社会システムの中で制度を守り、発展させる事はできず、制度としての生き残りすら難しくなってくると考えられます。
これらの事柄は、様々な価値観によって多くの意見があるものと思います。それらの意見を集約して“共通理解”を生み出して行く努力をすることが必要であると思います。
(続く)
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【業務実践講座】 (23)
~企業再生支援者となるために~
私たち行政書士は、ほとんどの場合その顧客は中小零細企業であり、それらの企業が業を営むための許認可手続や企業法務手続を通じて企業経営に深く係わり、時には、経営相談や経営(事業)計画づくりに参画をしたり、金融機関との折衝や社員教育などを行ったりしきました。
そうした中で、不況にあえぐ中小企業が債務超過に陥り、金融機関から「破綻懸念先」や「実質破綻先」のレッテルを貼られて、やむなく法的整理をしたり、実施的な倒産に追い込まれていくのを目の当たりにし、自らも破産や民事再生に向けて経営者の背中を押してきた行政書士も多くいるのではないかと思われます。実は、私自身も弁護士と協力しながら数社を法的整理に進ませた経験があります。
しかし、破産などの法的整理は、それで終わりではなく、破綻した企業を再生させるための新たな始まりであるのです。又、破綻型の債権償却(法的整理)を選択しないでも企業の抱える問題を解決し、再生に導くための方策が近年様々に整備されつつあります。
債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)や中小企業再生支援法、そして会社分割を容易にした商法改正などを活用して企業再生のためのソリューション(問題解決策)を提案できるようになってきました。
昨年に政府が、産業再生機構を作り、その傘下に「事業再生実務家協会」という組織が、事業再生の実務を担う人材(ターン・アラウンド・マネージャー、リストラクチャー・アドバイザー)を育成するために作られ、弁護士、公認会計士、金融機関職員を中心に約300名が第1回会員認定を受けたそうです。
この仕事こそ、行政書士が積極的に取り組むべきであると思うのです。是非、この「事業再生実務家協会」の一員として参画していくための能力を身につけていきたいと思います。
(つづく)
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