Ozeki - Letter

第39号

Ozeki-Letter

【予防法務研究】          ケーススタディ(5-2)

~相隣関係(私なりの解答)~

相談は、隣家が境界ぎりぎりに家を建てようとしているので、何とかしたいが、今後の付き合いもあるので、穏便に解決したい。というものでした。

この場合、相手はすでに建築確認を取り、基礎を打ち始めているということなので、Aさんが、どうしてもということであれば、なるべく早期に建築工事禁止(差し止め)の仮処分を裁判所に申請する必要があります。

しかし、Aさんは、“穏便に解決したい”と願っているわけですからいきなり仮処分を申請してしまうと、感情的な対立に発展する可能性がかなり高くなってしまいます。

また、民法は、例外として「敷地一杯に建てる慣習があるときは、慣習に従う」(236条)としており、さらに建築基準法では、「防火地域または準防火地域にある建物で、その外壁が耐火構造であれば境界に接して建てることが出来る」(65条)としているのですが、この規定が民法より優先すると考えられているようなので、この場合、それらの規定が適用されるのかどうかを調べる必要があります。ちなみに問題の場所は、準防火地域でした。

従って、この場合は、紛争になった場合にAさんの心労、労力や費用といった諸々のものが係ってしまうことを考慮しながら、紛争を未然に防止するためにBさんに“やむを得ない場合は差し止め請求もあり得る”ことを明示しながらもきちんとした文書をもって配慮を要請し、隣地境界線上に目隠し用の塀を作るなど何らかの善処をしてもらう交渉を行い、まとまったら必ず合意書を作成するようアドバイスを行いました。

これまでの付き合いの中で一定の信頼関係があるわけですから、Aさんの要望を無視できなくなるようあくまで“穏便に粘り強く攻める”ことが肝要であると考えたわけです。このような場合、法律はあくまで目安でしかありませんので、当事者間の感情的なバランスをどうとるかが問題であると言えると思います。
(つづく)

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コーヒーブレイク(*^_^*)
【言葉の解説】
今週は、よい言葉が浮かばなかったので、お休みです。
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