Ozeki - Letter

第29号

Ozeki-Letter

【ケーススタディ予防法務】
~内容証明の依頼(?)~
*****前回の引用*****
相談と言うよりは、内容証明を作成して欲しいという依頼に近いのですが、あなたがこの相談を受けた場合、どう対処するでしょう。
① 業務の依頼なので、相談者の言うとおり、内容証明による売買契約手付解約通知書を作成し、それぞれの相手方に送付する。
② 相談者の当面の相手である仲介の不動産業者に対して、本件売買契約の解約交渉を委任するよう勧める。
③ 相談者の事情は、相談者の側の事情によるものだが、自宅の買い主には損害はなく、分譲宅地の売り主(不動産業者)は、開発資金はかかっているものの他の買い主が見つかれば一定の満足は得られるので、Aさんが自ら誠意を持って事情説明し、解約を申し入れるよう説得する。
④ 争いが前提となりそうな事案なので、弁護士に相談するよう勧め、その結果で内容証明を書くことにする。
⑤ 自らがAさんの代理人となって相手方との交渉を引き受け、成功報酬をいただく約束を取り付ける。

という選択肢を考えてみました。『予防法務』的思考から導き出せる回答はどれだと考えられるでしょう。
*******引用終わり*****
私の答えは③です。
この場合、相談者の側の事情で解約をするわけですから、いきなり内容証明で解約通知をすることは、かえって相手方の感情を害することになり、無用な紛争を惹き起こす可能性があるので、まずは、誠意を持って事情を説明し、合意解約の道を探るように指導することが望ましいと考えるのです。
内容証明文書は、その性質上あらかじめ紛争を予見させるものですので、紛争を未然に防止するという立場からは、問題の全体を把握して、当事者の双方にとって最善の問題解決策を考えることが重要です。そういう意味で内容証明の依頼があった場合は、慎重な対応が求められます。
(つづく)

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