【予防法務研究】
~ケース・スタディを始めるに当たって~
これまで、企業予防法務について連載をしてきました。これは、私たち行政書士の業務にとって、身近にある分野であると考えたからなのです。
この連載の内容で、基本的な理解は進んでいると思うのです。
「予防法務」とは、“当事者間或いは利害関係者との争いを未然に防止する法的な手法”のことであり、その範囲、内容はきわめて広汎・多岐にわたるものです。
従って、個々の問題を把握し、その対応を考えるときには、これまでのような教科書的な連載ではなかなか説明をしきれないので、これからは、具体的なケースを取り上げ、ケース・スタディ方式でその相談者の意図を理解し、その意図が誤った方向でないことを確認して、その解決策を構築するまでの思考や、それに必要な知識などを説明していきたいと考えています。
また、「予防法務」という言葉は、以前に説明したように以前から弁護士や一部の専門家の間で使われてきたのですが、それが広く社会の中で有効性をもてなかったのは、日本社会が契約社会になじめず、リーガルマインドという点では未成熟な社会であったからに相違ないと思われます。
しかし、「事後処理・事後救済社会」が拡大し、自己責任が問われる時代背景の中では、契約の重要性が社会に認識され、「予防法務」に対する理解は必ず広がっていくでしょう。
これから必要とされる「予防法務」は、単に法的知識を駆使できるだけではなく、ヒューマンサービスの一分野として依頼者(相談者)に精神的満足をも与えられるものでなくてはなりません。
そういう意味で、まさに“人格を磨き、良識と教養の陶冶”(行政書士倫理綱領〔四〕)に資するようなケース・スタディを展開していきたいと考えています。乞うご期待です。
具体的には、11月1日の研修会の翌週の次次回以降の連載になりますが、出来るだけ続けていくために、皆さんが受けた相談事例や解決に至った事例などをお寄せいただきたくお願いいたします。
(つづく)
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コーヒーブレイク(*^_^*)
【言葉の解説】
~政府認証基盤~
-GPKI:Government Public Key Infrastructure-
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従来、国民等から行政機関に対する申請・届出等や行政
機関から国民等への結果の通知等は、署名又は記名押印
した書面に行われるのが通常でした。しかし、インター
ネットを利用してこのやり取りを行う場合には、申請・
届出等や結果の通知等が本当にその名義人( 申請者や行
政機関の処分権者 )によって作成されたものか、申請書
や通知文書の内容が改ざんされていないかを確認できな
ければなりません。これを確認できるようにするための
行政機関側の仕組みが政府認証基盤です。
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