Ozeki - Letter

第17号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】

~新たなプロフェッションの形を考えよう(9)~

前回、これからの問題解決法としてコミュニティソリューションが注目されていると書きました。

そのことを是非、理解していただきたいと思うのです。
今、時代の流れは、大きくグローバルを思考する方向性(G軸)とコミュニティーを思考する方向性(C軸)という二つの流れに分かれて思考されています。

G軸(グローバル思考がより強い)

第3象限    ↑第1象限
グローバル指向 ↑ グローバル指向+
のみ ↑  コミュニティ指向

→→→→→→+→→→→→→C軸
第4象限   ↑     (コミュニティ思考)
グローバルも ↑第2象限
コミュニティ ↑
もなし    ↑ コミュニティ指向
(ドボン)↑

この表をよく見てください。
第1象限は、グローバル指向を持ちながらもコミュニティ(地場)に立脚をしている中小中堅の製造業の思考の方向性です。
第2象限は、地場でしか生きられない土着の産業、地場建設業やいわゆる地場産業といわれる製造業の思考の方向性です。行政書士も一部の国際的な活動をしている人を除いては、ここに入ると思われます。
第3象限は、グローバル指向が強いので、コミュニティにはあまり関心がありません。これがマーケットソリューションに当たる思考方法であると考えても間違いではありません。国際競争をしなければならない大企業の思考は、この方向性を持っています。
第4象限は、きわめて閉鎖性の高い思考の方向性で、これをヒエラルキー思考であると考えることができます。この第4象限の方向性は、新たな社会システムの中では全く枠の外になってしまい、この思考方法では情報化社会のシステムの中で生き残ることはできない(=ドボン)といっても過言ではないと考えています。

つまり、地域の中で活動し、問題の解決策を探るためには、コミュニティを指向していく以外にはないのだということです。ここでいうコミュニティとは、特定のものを指すのではなく、「人々の集まり」と考えればよいのです。つまり、これまでのように中央集権的に誰かが決めた解決策を“上意下達”で実施するのではなく、また、評価をマーケット(市場)に委ねて、解決策を探るのではなく、人々の衆知を集めて解決策を見いだすという思考方法が大事なのです。
ここで、よく引き合いに出されるのが、コンピュータのOS(オペレーションシステム)を世界中の技術者によって作り上げたリナックスの方式があります。これは、一人の学生がネット上に公開した技術を世界中の技術者がそれぞれの工夫を加えながらマイクロソフト社のWindowsに匹敵するOSとして完成度を高めたという経験に基づくものなのですが、ここで使われた問題解決の方法が、コミュニティソリューションという方法を編み出したと考えられています。
詳細については、是非、金子郁容著『コミュニティソリューション』を是非お読みいただきたいと思います。
次回は、このコミュニティソリューションの基本となるソーシャルキャピタルについて書いてみたいと思います。
(つづく)
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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(14)

~株主代表訴訟に備える(3)~

前回は、“株主代表訴訟回避3原則”の説明をしました。
しかし、“回避三原則”を理解していても、会社にとって、よかれと思って事業拡大したつもりが、今の時代には、経営環境の急激な変化によって会社に損害を与えてしまう場合があります。そんな場合にも取締役の責任が追及されるとすると、躊躇が起こり、積極的な経営姿勢が保持できないことになってしまいかねず、結果的には、会社の発展を阻害することになってしまいます。

そこで、“代表訴訟の先進国”であるアメリカの判例法で形成されてきた“ビジネスジャッジメント・ル-ル”(経営判断の法則)という考え方が生まれ、我が国でもこの考え方に基づく判例が出始めています。
この『経営判断の法則』とは、「取締役が経営上の判断、つまり政策決定において適正な判断をして業務を執行した場合には、結果として会社に損害を与えたとしても当該取締役は責任を負わないという原則であり、すなわち、裁判所は責任を追及しないというルール」です。

「経営判断の法則」が適用されたアメリカの判例の検討から、導き出された適用基準の要件は、

第1の要件 取締役の忠実義務に違反しない判断をしたとき
第2の要件 合理的な判断をしたとき
第3の要件 会社の最大利益になると判断したとき

ということになります。

(つづく)

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