Ozeki - Letter

第16号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】

~新たなプロフェッションの形を考えよう(9)~

前回は、ヒエラルキー・ソリューションについて書きました。
工業化社会の終焉と共にこのヒエラルキーソリューションでは、問題解決が出来なくなり、そこでグローバリゼーションの拡大と共に台頭してきたのが、マーケット・ソリューションという考え方です。

このマーケットソリューションという考え方は、『新古典資本主義学派』という経済学派の提示する考え方で、すべての問題解決を『市場』に委ねようという考え方です。

今の小泉内閣の政策は、竹中経済財政相がこの新古典資本主義学派の学者なので、まさに、このマーケット・ソリューションに基づいた展開となっているのです。
その施策は、この景気低迷に対する判断が『消費が低迷しているのは、造る側、売る側の価格が高いからだ。もっと競争をして、良いものを安く売る努力をしなければならない。』という論理に基づいているわけで、市場競争をさせることによって、優勝劣敗の環境をつくり、強いもの(企業が)勝ち残れば問題解決になると考えるわけです。
そのために、“不良債権処理”ということで、弱い企業を市場から退出させることに力を注いでいるのです。

この考え方は、グローバル経済の中での国際競争力という観点からは有効なのですが(と言うよりは、グローバル経済の中では標準となっている。)、ローカルな地域経済には、大変な打撃となっているのです。よって、中小零細企業や市民生活にとっては、何ら問題の解決に寄与しないばかりか、逆に問題をさらに深刻にしてしまう方向性をもっているので、閉塞感が増しているのです。

では、これからの社会の中での有効な問題解決手法は、ないのでしょうか?
そこで、近年注目をされている考え方が、東京大学の金子郁容教授が提唱する“コミュニティ・ソリューション”という考え方です。
(つづく)

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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(13)

~株主代表訴訟に備える(2)~

中小企業経営者の中には、「株主代表訴訟などは、中小企業には関係ないし、合ったとしても、同族や社員株主から訴えを起こされることなどあり得ない。」と考えている人が多いようです。 だから、安易に利益が出ても「配当などしない。」と勝手に決めて、大きな内部留保を作っているケースもあります。
これまでは、それでも通用してきましたし、半ばそれが当たり前のようになってきた嫌いがあります。

しかし、名目株主は別にして、実際に資本を投下している株主にとっては、当然に配当を受ける権利を主張することは可能であり、同族や、社員株主が無配当或いは、経営の悪化による無配転落の責任を株主代表訴訟で追及してくる可能性は絶無ではありませんし、今後(現に起きてきていますが)、この手の訴訟が増えていくものと思われます。

そのようなリーガルリスクを回避するために、前回「代表訴訟回避の三原則」を紹介しましたが、もう少し詳しく説明をしてみたいと思います。

第1原則 基本理念を確立すること

会社役員は、中小企業といえども“会社は、株主のものである”という基本理念を確立する必要があります。
“株主のもの”という基本理念が確立できれば、取締役は、常に“すべての株主の利益”になるよう行動しなければならないということが理解できてくるはずです。

第2原則 経営と法律を一体化すること
この“経営と法律の一体化”という言葉は、“予防法務”に詳しい弁護士の大矢息夫氏の提唱しているもので、「代表取締役その他の取締役が、企業経営における重要な決定、つまり、政策決定を行うにあたり、常に経営判断と法律判断を同時に処理するというセオリーである。」ということです。
つまり、経営判断をするときに、常に法的に問題はないかどうかを意識している必要があるということなのです。これは、単に「株主代表訴訟を回避する」ということだけではなく、これから拡大をしていく“自己責任社会”の中での経営の基本としての“コンプライアンス(遵法)”を実践するということなのです。

第3原則 法規部署を強化、又は、日常的につきあえる
法務コンサルタントを活用すること。
中小・零細企業に法規部署が存在していることはまれであり、実際そんな余裕がないのが実情です。勢い、社長が、すべてを判断するということになるわけですが、社長といえども、法律知識に精通しているとは限りません。
しかし、これからの“自己責任社会”にあっては、企業予防法務としてのクレーム処理は、きわめて重要な位置づけとなりますし、コンプライアンス経営が求められる中にあっては、法律問題を処理できる担当者は、必須となります。
とはいえ、専門知識を持った担当者を置くことは、困難であろうと思われます。そこで、予防法務の専門知識を持った行政書士が法務コンサルタントして日常的にバックアップをする必要があるわけです。
(つづく)

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