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【プロフェッションになろう】
~新たなプロフェッションの形を考えよう(7)~
前回は、《ゼロベース思考》を解説してみました。この《ゼロベース思考》を実践するためには、『顧客にとっての価値を考える』と言うことが基本であることを是非、理解してもらいたいと思うのです。
今回は、次の《仮説思考》について考えてみたいと思います。
《仮説思考》とは、限られた時間、限られた情報しかなくとも、必ずその時点での結論を持ち、実行に移すと言うことです。
とにかく早く結論を出して、早く実行に移す。そして、その結論を早く検証して次のステップにつなげていくことが重要です。
つまり、P(プラン・計画)→D(ドゥ・行動)→C(チェック・検証)→A(アクション・実施)のサイクルを自分自身の思考の中で“早く”回すと言うことなのです。
これからの“情報会社会・脳化社会”の中では、このスピードが命運を分けます。時間をかけて綿密に調査・分析をして計画を立てることよりも、ざっくり、おおざっぱでも良いから短時間であるレベルの結論を出して検証可能なドゥに結びつけることが必要なのです。
この場合、“ベスト”でなくとも“ベター”で良いという割り切りが必要なのですが、変化の激しい時代にあっては、検証を重ねている間に前提条件がどんどん変わってしまう可能性を否定できないので、“より早く”を追求しなければならないのです。
この《仮説思考》を実践していく上でのポイントは、
● アクションに結びつく結論を常に持つ→結論の仮説
最初は、当てずっぽうでもよいから“こうすればこうなる”という結論を出す。乱暴なようですが、何がなんでも結論を出すことが仮説思考の始まりなのです。
● 結論に導く背後の理由やメカニズムを考える→理由の仮説
「何がなんでもその時点での結論」を持とうとすると、その問題の背景にはどういうメカニズムが働いているか、どういう枠組みで問題を考えるのか、なぜそう言う枠組みでとらえたのかという理由を自然と考えるようになります。それによって、軌道修正が可能になり、その枠組みの中での要を押さえることが出来ます。
● 「ベスト」より「ベター」を考える→スピードの重視
解決できる可能性を必ず頭の片隅に残しながら、ベターな解決策が見えたらすぐに実行に移してみることが重要。ベストな策は追いかければ追いかけるほど時間もかかるし、行き詰まるというリスクが大きくなることが多い。
これまで説明した《ゼロベース思考》も《仮説思考》も戦略的問題解決手法の一つです。私が、なぜここで、このような戦略的思考を持つことの必要性を訴えたいかというと、私たちは、今という情報化社会への時代の変化の中にあって“新たな行政書士像”を創造し、その担い手として発展していかなければならないと考えるからなのです。
従来型のまま思考では、制度そのものが瓦解してしまう可能性を否定出来ないことは誰の目に明らかだと思います。だからこそ、戦略的な思考を持って未来を創れるプロフェッションとしての行政書士が必要なのです。
(つづく)
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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(11)
~平成13・14年商法改正のポイント~
企業の予防法務を考える上で、商法の改正情報は重要です。
特に商法改正ビックバンと言われる平成13年の四次に亘る改正及び14年の改正は、企業経営をめぐる環境の急激な変化に対応しようとしたものですので、その背景も含めて理解しておく必要があります。
“何を今更”と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、おさらいも含めておつき合い下さい。
13年の第1回目の改正は、同年6月22日に成立し、10月1日より施行されています。
主な改正項目は、
①自己株式取得の自由化
中小零細企業の経営者は、いわゆる“金庫株”で相続税の納税資金を捻出し、議決権のない金庫株を増やして経営支配権を維持できる。
②株式単位の自由化(1株5万円の廃止)
株式単位は、各社の資金調達上の便宜、株式管理コストなどを考慮して自由に決めるものであり、商法で規制するべきではないと言うことで撤廃した。
③法定準備金制度の緩和
利益準備金は、資本準備金の額と合わせて4分の1に達するまで積み立てればよいこととなった。
13年の2回目の改正は、同年11月21日に成立し、14年4月1日より施行されました。
主な改正骨子は、
①株式譲渡制限会社の新株発行の際の“4倍規制”を撤廃した。
②種類株式
③新株予約権
④会社関係書類等の電子化
が、あげられる。
3回目の改正は、13年12月5日に成立し、14年5月1日から施行されています。
主な改正骨子は、
①監査役制度の強化、任期が延長された。
②取締役の責任軽減、損害賠償額が軽減された。
③株主代表訴訟制度の見直し。
考慮期間が30日から60日に延長された。
4回目の改正は、14年5月29日に成立し、15年4月1日より施行されています。
主な改正骨子は、
①株券失効制度の創設等の株式制度の改正。
②委員会設置会社の創設等の会社機関の改正。
③現物出資等の財産価格の証明制度等の会社計算の改正。
(つづく)