Ozeki - Letter

第13号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】

~新たなプロフェッションの形を考えよう(6)~

前回、行政書士としての新たな能力の一つとしての“戦略的思考”が重要になっていると言うこと、そして、その基本となる思考方法が〈ゼロベース思考〉と〈仮説思考〉であるということを書きました。
この二つの基本的思考方法について少しつっこんで解説を加えてみたいと思います。

《ゼロベース思考》のポイント
ゼロベース思考のポイントは、
◎ 自分の狭い枠の中で否定に走らない。
◎ 顧客にとっての価値を考える。
という2点です。

ゼロベース思考の妨げになるのは、《既成の枠》です。一つ目のポイントは、その“枠”の中でも、自分自身ではめてしまっているタガを取っ払ってしまえと言うことなのです。
問題が明らかになったときに、最初から自分の経験則や現に持っている知識の枠内で“解決は難しい”と決めつけて、そこから出発するのではなく、もしかしたら自分の設定した枠の外に解決の可能性があるのではないかと考えるのが〈ゼロベース思考〉なのです。
自分の矮小な枠内で思考をすると、どうしても、“難しい”ことを前提に、出来なかったことへの言い訳を考えようととしてしまいがちです。
それは、従来型の思考では、ノックアウト・ファクター(これがだめなら所詮何をやっても絶対にだめという要素)を何か一つでも見いだしてしまえば、物事を否定することは比較的容易であるという経験則によって、恣意的に“考える枠や対象”を狭くするという傾向があることを否定出来ないからだと考えられます。

〈ゼロベース思考〉では、自分の狭い枠を超えて考えようとするため、解決策を見いだす可能性が高まるばかりでなく、従来の枠の外に可能性を求めるという前向きな姿勢を創り出すことが出来るのです。
顧客・依頼者からビジネス上の課題を解決するための支援・アドバイスを求められたときには「この課題を解決するための具体策は必ずある」という前提で、ゼロベースで考えてみて欲しいと思うのです。
もちろん、そのためにようする作業量やエネルギーは、従来型の思考に比べて格段に大きくなることと思いますが、行政書士が、新たな社会システムの中で新たなプロフェッションとしての地位を確立するためには、そのための最低要件としてこの《ゼロベース思考》を実践するべきであろうと考えています。
(つづく)

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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(10)

~“根保証”って何?(2)~

前回は“根保証”に関する基本的な事柄を書き、充分な注意が必要である旨を述べました。
そこで、万が一、包括根保証契約を締結してしまった保証人からの相談を受けた場合にどう対応すればよいのかについて考えてみたいと思います。

包括根保証は“現在及び将来発生する債務”を保証するものであって、保証債務の範囲が不確定であるため、時には根保証人が不測の保証債務を負担しなければならないと言う酷な事態に陥る可能性があります。

このような背景があることから、次の場合には根保証が解約されるという判例があります。

● 第一は、保証期間に関する解約
保証期間の定めのない根保証契約でも、相当な期間経過後に、根保証人から一方的に解約の通知をすることが出来る。(大審院昭和7年12月17日判決)

● 第二は、保証期間や保証限度内の解約
保証期間や保証限度制限していても、債務者の資産内容が著しく悪化したというような特殊事情が生じたときには、根保証人から将来に向かって一方的に根保証契約を解約することが出来る。
(大審院昭和9年2月27日判決)

●根保証は相続されるのか?
単純保証人が死亡した場合は、相続の対象となるが、根保証の場合は、相続されないと判示されています。
(最高裁昭和37年11月9日判決)
この場合、根保証人の死亡が根保証契約の解約事由になります。

《相談者が、根保証で泣かされないためのチェックポイント》
① 根保証の意義・機能を知る。
② 単純保証・連帯保証か根保証かを確認する。
③ 根保証には2種類あることを知り、どちらかを確認する。
④ 包括根保証は、債権者に有利である。
⑤ 包括根保証でも解約できる場合がある。
(つづく)

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