【今週の一言】
今週、行政書士の今後のあり方について、考えなければいけないニュースが飛び込んできました。
山口県の行政書士が、弁護士法72条違反で逮捕されたというのです。この行政書士は、多重債務者の相談にのり、「調停申立書や自己破産の申立書を作成して法律事務を行った」容疑によって逮捕されたとの報道です。
この報道だけでは、逮捕に至った詳細な経緯はわかりませんが、多重債務者を食い物にする悪徳金融業者が多い中で、それに関わる弁護士や司法書士が少ない状況で消費者契約法等の法律に関与できる行政書士が、その救済のために法律事務に関わらざるを得ないことは容易に想像できるのですが、これを非弁活動として逮捕までして排除する保護法益はどこにあるのかという疑念を禁じ得ません。
改正行政書士法が施行されて1年がたち、今まさに弁護士法72条の改正論議が一定の方向性を持ち始めている時期での今回の事件なので、今後の成り行きを注目していかなければならないと思います。
今、私たちがしなければならないことは、単に弁護士法72条を批判したり、改正要求を表明するのではなく、行政書士法第1条の3による「契約書等の書類を代理人として作成すること」の意を明確にし、契約交渉権を含む契約代理も可能であるという理論武装をすること、そして実践をすることだと考えています。
但し、現行弁護士法72条がある以上「争訟性のある法律事務」に関しては、無償でない限り業務としては扱えないのだということをきちんと理解しなければなりません。
今後、事後救済・事後チェック社会が拡大をしていきます。そのために司法制度改革が進められているわけですが、私たちは、訴訟代理等訴訟制度の中にはいることだけを目指すのではなく、自己責任を強いられる国民の立場に立って、予防法務を身につけ、争いを未然に防止するための専門性を高める必要があるのだと改めて思った次第です。
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【Ozeki-Letter】 2003.8.1【第9号】
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