Ozeki - Letter

第9号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】(9)

~新たなプロフェッションの形を考えよう(3)~

前回、コア・コンピタンス(核心的業務)を持つ必要のあることを書きました。

新人の皆さんにとっては、そんなことを言われても仕事を選んではいられないと思います。もちろん、はじめからいずれかの分野に特化するなどと言うことは通常ではできません。

ステップバイステップでよいのです。焦る必要はありません。
ただ、仕事は、依頼が来た業務を一つ一つ丁寧にこなしながら、自分の特化するべき方向性を常に意識することが大事なのです。

これから展開していく社会は、コンプライアンス(遵法)であり、自己責任であり、そしてディスクローズ(情報開示)が基本となる社会であることは、もはや疑う余地がありません。

そのときに求められる「専門家」とは何かをイメージしてみましょう。

これまでのように、「許認可」と言われる行政手続きの分野では、ただその手続きだけを業務にしていたのでは、「専門家」としての地位は獲得できないでしょうし、また、「権利義務」という法務分野では、司法制度改革によって法曹人口が増加し、司法書士などが裁判手続に参入するなどによって、私たち行政書士が事後救済手続に関与できる道は、かなり制限的になると考えられます。

そうなると、私たちに求められる「専門家」のイメージは、行政手続に関与してきた実績に基づいてその手続の根拠となる法令や民事・商事実体法をきちんと身につけ、高い法務スキルをもち、さらにクライアントである中小零細企業者の経営に深く関わるために会計に関する情報・知識を身につけ、それを戦略的に指導できるコンサルティングの能力を磨くことによって獲得できるものであると考えています。

法務+会計+コンサルタント=専門家たる行政書士

と、いう風にイメージしているわけです。
(つづく)

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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(7)

~領収証をめぐる諸問題~

会計業務を扱っていると、クライアント会社の経理担当者から“領収証”に関する質問をよく受けます。

例えば、“上様”という宛名の領収証は有効か?。とか、収入印紙が貼っていない“領収証”は無効か?。とかの簡単な質問や商品受渡票に“受領した。”とのみ書いてある場合の取り扱いなど様々です。

「領収証」とは、一般に「金銭を受け取ったことの“証”として相手に交付する書き付けのことである。」と、解されています。 “証”であるので、「領収書」は「領収証」と表示するべきなのです。領収証は、金銭を支払ったり、商品等を引き渡したときには、相手から“領収した証”としての領収証の交付を請求する権利(受取証書請求権:民法486)として法定されているものです。

領収証には、①債務を弁済したという証拠(消極的機能)②二重払いの防止(積極的機能)。という二つの機能があります。 領収証には、次の事項を記載しておく必要があります。
(1)領収証の発行年月日 (2)宛名 (3)受領権者(4)受領金額・物品名など
但し、領収証には特別に法定されたもの(行政書士会会則など)以外に形式に関する制限はないので、どんな形でも良いのですが、後日のためには、できるだけ上記の記載事項をかけるようにしてある様式を使用することが必要です。

さて、“上様”と書いた領収証は、有効でしょうか。通常は問題はないのですが、税務調査等では“否認”されるケースもあるようですので、できるだけ宛名を明確に書いてもらうことがベターです。

収入印紙を貼っていない場合はどうでしょう。3万円以上の金銭授受の領収証には、印紙税法によって印紙を貼ることが義務づけられていますが、そのことと書面の効力とは別問題です。印紙を貼っていない領収証は、印紙税法には違反しますが、領収証としての効力にはなんの問題もありません。
しかし、印紙税法違反が指摘された場合は、少々厳しい過怠税が課せられたり、不正行為とみなされた場合には刑罰を受ける可能性がありますし、今のような経済状況の下では、印紙を貼らない取引先は経営状態が悪化していると見られる場合もあるので要注意です。

※「過怠税」は、本来の税額の3倍です。但し、自主的に不納付であることを申し出た場合には、1.1倍に軽減されます。印紙に消印をしていない場合の過怠税は本来の税額と同額です。

受渡票に“受領した”とだけ書いてある場合は、いわゆる“仮領収証”とみなせる場合もありますが、そのままでは、後日の証拠にはなりませんので、直ちに正式の領収証を交付してもらう必要があります。
(つづく)

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