Ozeki - Letter

第8号

Ozeki-Letter

==============================
【プロフェッションになろう】(8)

~新たなプロフェッションの形を考えよう(2)~

従来の開発主義による工業化社会の中では、“ゼネラリスト”が求められ、一般企業でも、“総合職”なるものがもてはやされた時代がありました。

行政書士もその職域の広さからゼネラリスト的な活動をしてきました。
しかし、市場原理による競争社会の出現によって、「総合職」は姿を消し、「ゼネラリスト」から「スペシャリスト」へとシフトが起こりました。つまり、“浅く広く”知識や技量を持つことから狭い範囲で専門的な知識や技量を備える“専門家”を求める社会になったということができます。

行政書士も当然に“スペシャリスト”(専門家)としての道を拓いていかなければなりません。

これまでの社会では、肉体労働の生産性を上げることによって豊かさを獲得してきましたが、今、移行期にある情報化社会では、知識労働の生産性を上げることが求められるのです。

要するに“代書”からの脱却が求められているのです。

新たなプロフェッションの形とは、“コア・コンピタンス”(核心的業務)に特化することだと私は考えています。つまり、個々の行政書士が、一人一人の専門分野を持ち、その分野を深く追求して“専門家”としての地位を確立することによって、新たな社会システムの中での存立基盤を獲得し、それらの行政書士をネットワーク化することによって、国民に対するワンストップサービスを提供するシステムを作らなければならないと思うのです。

新人の皆さんにこんなことを言うのは、私自身の経験からもつらいのですが、今まさに、“時代の転換期”であり、そういう環境の中では、新人もベテランもなく“ゼロ思考”で新たな展開の仕方をイマジネーションすることが求められているのです。

私は、これを書きながら、今という時代を見つめ、自分なりに情報を集めて咀嚼して、勝手にイマジネーションをふくらませて、皆さんに提供しているにすぎません。

21世紀は“脳化社会”と言われています。都市は、人間の脳によって作られた世界の典型です。これからの“資本”は知識労働者の脳の中に蓄積された『情報・知識』なのです。

だからこそ、私たち行政書士は、未来を拓くために必要な(有効な)本を読み、ネットにある情報を咀嚼して知識を蓄えていかなければならないのです。
そして、その蓄えた『情報・知識』を自ら加工し、新たな価値を生み出す道具として活用できる能力を身につけることが重要なのです。                                                          (つづく)

================================
【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(6)

~ハンコ(印章)の管理~

企業法務にとっての基本的なものとして欠かせないのが、会社印の管理です。
企業によっては、会社(代表)印、銀行印、契約印などと分けている場合が多いのですが、意外と杜撰に管理されている場合が少なくありません。

中小零細企業の場合、組織としての管理システムがなく、印鑑の管理については、経理担当の職員や総務部長(番頭役の人)に任されていたりすることもあります。
そのような場合に、社長の知らないうちに同族役員などによって勝手に印鑑が使用され、トラブルに発展する可能性があります。

企業法務において作成される『法律文書』は、①文書の作成者は誰か。②誰の意思表示か。という2点が書面上明確になっている必要があります。
この2つの点を明確にするために文書には作成者の氏名を記載することになります。この記載方法は、「署名」または「記名捺印」の二通りの方法があります(商法中署名スヘキ場合ニ関スル法律、手形法)。

法律的には、「署名」=サインだけでも有効なのですが、日本の古くからの商慣習によって、署名よりも押印を重視する傾向が強いので、署名+押印によって本人の最終的・確定的な意思表示の証拠とするのが一般的です。
従って、会社印は、法律上重要な意味を持つこととなりますので、その管理は決して杜撰であってはならないことは言うまでもありません。

会社印には、通常で、『代表者印』(法務局に届け出た実印)と『社印または契約印』(認印)、『銀行印』があり、さらに会社によっては、『社判』と呼ばれる角印(明治以降の商慣習の名残で、法律的には全く意味のない印)を使用している場合もあります。

『代表社印』は、社長が管理をし、印鑑証明をとることのできる実印ですから、印鑑証明を添付するような場合以外は、なるべく使わないで“印影”をあまり外に出さない配慮が必要です。

手形、小切手の偽造やその他の印鑑を巡るリスクから回避し、トラブルを防止するためには、「契約印」、「銀行印」の取扱規程を定めて保管場所や保管及び取り扱い責任者を定めておく必要があります。

私たち行政書士は、書類作成業務を通じて印章の重要さを知り尽くしています。そのような立場から、企業法務コンサルタントとして印章の管理について企業経営者にアドバイスをしなければならないと考えています。
(つづく)

1

2

3 4

最近の記事

  1. てんめい尽語
  2. てんめい尽語
  3. てんめい尽語
  4. てんめい尽語
  5. てんめい尽語
PAGE TOP