Ozeki - Letter

第6号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】(6)

~専門職業人としてのパーソナリティを構築しよう~

先週は、“媚びを売ること”と“信頼を得ること”とは違いますよ。って話しを書きました。

私達“専門職業人”(士業者)というのは、自分のもっているパーソナリティを売っていると言っても過言ではないと思うのです。

依頼者である市民や企業家は、専門家である行政書士を信頼して業務を依頼してくるといったのだけれど、それは前提であって、後は、依頼を受けた君のパーソナリティによって信頼関係を作るってことが重要なんだ。

今回は、そのパーソナリティを構築するために有効な手だてを考えてみることにしよう。
そんなことはよけいなお世話だと思うかもしれないけれど、ちょっと付きあってほしい。

人のパーソナリティというのは、生まれ持った特性もあるのだけれど、生き様によって大きく変わる部分を持っているので、行政書士として必要なものを身につけなければならない。

それはどういうものかというと、依頼者の立場に立ってものを考え、依頼者のいっていることを正確に理解して、その要求を具現化するために必要な知識を供給できる資質を身につけるってことなんだ。

これは、“言うは易し”ってところがあって、なかなか難しい。
例えば、相続などの相談で、他の相続人に対して特別な感情を持っていて、理屈はわかっているが感情的に受け入れられない相談者が君のところへ来たとするよね。

実際にままあることなのだけれど、くだくだと回りくどく自分の育った環境やら親から受け仕打ちなんかを話し始め、なかなか本題にたどり着かない。(ベテランの会員の皆さんは、ここで思い出し笑いがでているかもしれない。)

そんなとき、君はどう対応するかってことだ。考えて欲しい。
中には、私が知っている弁護士のように、しびれを切らして“そんな話はどうでもいい、何か言いたいのか!”と相談者を恫喝する人もいるが、それでは相談者は二度と心を開いて自分がどうしたいのかを言わなくなってしまうのだ。

私も経験があるが、そう言う依頼者は、くどくど話しながら相手が自分の話を聞いてくれるかどうかを見定めているんだ。

だから、ひととおり言いたいことを言ってもらいながら、本題へとリードしていく必要がある。ただ聞いているだけでは、本当に何が言いたいのかが見えてこない人もいるので、時間を浪費しただけになってしまうこともある。だから、こちらのリードが必要なんだ。

このリードができるかどうかでパーソナリティが決まってしまうような気がしている。そう言うとたぶんいろんな反論や異論があると思うのだが、要は、相手の話を聞きながら相手の言いたいことを自分なりに構築して相手の気持ちや考えを整理しながら相談に乗ることができるかどうかなんだ。

ここで、重要なのは、相談内容を法的に理解をする知識は当然必要だけれど、それ以上に人間としての利口さ、つまり、機転を利かせることが必要なんだ。そして、きちんと話を聴くという誠実さを兼ね備えたパーソナリティをもてれば、本当の意味でのプロフェッションに一歩近づくことになる。私はそう思っている。                                           (つづく)

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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(4)

~裁判外でのクレーム処理(示談)~

“裁判外”と書くとすぐにADRを思い出す向きも多いと思いますが、ここでは示談について研究をしてみたいと思います。

悪質な“クレーマー”や誤解に基づくクレームは別にして、クレームを受けた企業にとっては、出来るだけ示談によって解決することが望まれます。

それは、示談という方法が、様々なクレーム処理制度のうちでもっとも安く・早く処理できるからに他なりません。

ここで言う「示談」とは、私人間の紛争を裁判によらず、当事者間で解決するための一種の契約です。

これまで、「示談」に関わることは、紛争の仲裁という法律事務であるということから弁護士法72条に抵触すると考えられてきましたが、昨年の改正行政書士法施行によって、契約書の代理作成とそのことに関する相談業務についても行政書士の法定業務となりましたので、「示談」という契約を成立させるための約定に関する相談にのりながら「示談書」を作成することは、まさに行政書士の業務範囲であると考えても差し支えないと思います。

「示談」と類似した手続に「和解」があります。これは、私人間の紛争を当事者間で互いに譲り合って争いを解決する方法で、契約で行う「裁判外の和解」と裁判所で行われる「裁判上の和解」の2種類があります。
この「裁判外の和解」を通常「示談」と言っているわけです。

示談には、早くて、費用も少なくてすむし、内容も非公開であるという利点がありますが、反面、相手が感情的になり、あくまで争う姿勢が強ければ、示談は成立せず、訴訟にならざるを得ない場合もあります。

しかし、クレームの実態である“事実”を的確に把握し、それによって相手に与えた損害を明確にした上で和解条件を考え、相手に誠意を持って説明責任を果たし、同意を求めることによって多くのクレームは紛争に至ることなく解決が可能なのです。

問題は、企業側が損害を最小限に抑えたいとか、信用リスクを恐れるあまり、事実を曖昧にしてしまったり、相手方の損害を不当に低く評価をしてしまったりすることによって相手の同意を得られないばかりか、感情的な争いにしてしまうことが往々にして起こると言うことです。

それを回避するためには、客観的に評価をする立場の専門家を必ず関与させることが必要になります。私達行政書士は、紛争を未然に防止するという“使命感”をもってこのことに取り組むことが重要です。
(つづく)

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