Ozeki - Letter

第5号

Ozeki-Letter

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【プロフェッションになろう】(5)

~媚びを売るな!~

前回は、『専門家責任』について書いて、私達にとって一番大切なことは“依頼者からの信頼を得ること”だって言ったよね。

ここで間違えて欲しくないのは、“信頼を得ること”と“媚びを売る”こととは違うってことなのですよ。

“そんなの当たり前じゃん。”と思うかもしれないのだけど、意外にここで思い違いをしている場合が多いんだ。

“媚びを売る”ってのは、つまり、依頼者のいうままに多少の違法性や道義・真義に外れていても目をつむって仕事をしてしまうってことなんだ。

これは、専門職業人として絶対にやってはならないことなのだ。 もちろん、依頼者の利益を追求しなければならないわけだけど、だからといって、何をしても良いと言うことにはならないよね。

『専門家責任』というのは、すべからく専門家としての“倫理観”に基づくものである。っていうことをしっかり身につけて欲しいと思うのですよ。

なんだか、説教がましくなってしまったけれど、決してそういうことではなくて、君がこの行政書士業という世界で成功していくために絶対(?)に必要なことなのです。

世の中は、すべて「性善説」にたてるほどいい人ばかりではなくって、中には、私らの資格をうまく利用しようなんて考える人もいるわけで、そこは充分に見極める必要があるってこと。

だけど、依頼者を信頼しないでこちらを信頼してくれっていったってなかなかそうはいかないよね。そこが難しいんだ。

じゃぁ、どうする。
そこは、専門家としてやるべきことをきちんとやることによって、依頼者の信頼を得るというスタンスを確立しなければならないってことだ。

つまり、依頼者の言っていることを的確に把握して、その要求を満足させるために必要な手続を十分に説明し、そうした上で、依頼者にその手続に載っていけるかどうか(要件も含めて)を確認してほしい。

もし、依頼者の言い分が法律的に正当でなかったり、第三者に不当な影響を及ぼすようなものであれば、そのことをさらに説明し、適切な方法で手続を進めるよう説得をしなければならないということなんだ。この場合、間違っても、依頼者に迎合してはいけないよ。

あと、依頼者の信頼を得るために是非やって欲しいのは、“迅速な処理”を追求すること。例えば、普通にやれば、調査をして書類を作成するまでに1週間を要するとしたら、依頼者には1週間といっておいて、それを3日でやる努力を惜しまないで欲しいって言うことなのです。
(つづく)

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【予防法務研究】『企業予防法務』の基本(3)

~クレーム処理の5原則~

“クレーム”とは、「商取引で契約当事者から出される損害賠償の請求を伴った苦情」(村松明編『大辞林』三省堂刊)と解されています。

日常の商取引の中では、様々な一般に言う苦情などが発生してきますが、企業経営の継続のためにはここで言う『損害賠償の請求を伴った苦情』を“クレーム”として捉え、これの発生を未然に防止する手だてを講じておく必要があります。

しかし、一般的な苦情と言えども“クレーム”に発展する可能性がありますので、軽視や無視をすることなく誠意を持って対応する必要があります。

クレームの処理については、『消費者契約と紛争予防&クレーム対策』(日本法令刊)の中で、弁護士の大矢息生氏が“クレーム処理5原則”を提唱しているので、参考にしてみます。

第1原則 【初期対応=はじめが肝心】
第2原則 【集中処理=窓口の一本化】
第3原則 【情報収集=事実を的確に掴む】
第4原則 【迅速処理=クレームの拡大、複雑化を防ぐ】
第5原則 【マスコミ対策=誤報道を避ける】

というもので、それぞれの段階における原則を明らかにしています。特に第1原則の初期対応を誤ると全体のクレーム処理が成り立たなくなる可能性が大きくなってしまうので、注意が必要です。

この段階では、誰がクレームを受け対処するのかが決まっていませんので、クレーム処理に関する責任と権限を明確にし、その責任と権限がない人が受けた場合に適正な対応を確保するためにクレーム発生時の対処法に関するマニュアルを作ることが有効であると考えられます。

上記“責任と権限を明確にする”ことが、第2原則の【窓口の一本化】と言うことになります。
この窓口の一本化は、クレームの未然防止のシステムとしてだけではなく、発生したクレームに迅速に対応するためにも必要不可欠なのです。又、第3原則の情報収集についても、窓口の担当部署がその責任と権限に基づいて客観的に的確に事実を把握することになります。

企業がこのクレームによる損害を最小限に処理するためには、発生したクレームを迅速且つ的確に処理しなければなりません。
それが第4原則にいう【クレームの拡大、複雑化】を防止する唯一の手だてなのです。

第5原則の【マスコミ対策】は、発生したクレームの規模や内容によってその対応は異なりますが、現代のようなクライシスな時代にあっては、思いもよらない形でマスコミの俎上に載せられ、社会的責任を追及される可能性がないとは言えません。

私達のクライアントである中小零細企業にとって、誤った情報に基づいた報道が一旦出されてしまうと、事実上その回復は不可能なばかりでなく、その為に倒産に追い込まれることも想定されますので、中小零細だからといって軽視は出来ません。

私達行政書士は、前回の契約の効用を説くと同時にこれらクレーム処理の流れ・方法についても積極的に関与し、紛争の未然防止に努力をしなければならないと考えています。
(つづく)

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