小関ブログ

「安心社会から信頼社会へ」(会長選挙に寄せて)

今日は、曇で時折細かい雨が落ちてきます。予報ではこの後晴れてくるようですが、、、とりあえず寒いです。これまで一足飛びに春のような陽気が続いていたので、この時期に改めて冬に来られると体がついて行けません。風邪などひかないように気をつけましょう。
年度末が近づき、そろそろ、行政書士会の定時総会が日程に上り、会長選挙も話題になるような時期になってきました。
私は、強制加入制度を採っている専門職能団体である行政書士会における役員選挙の在り方にはかねてから疑問を持っていますが、社会が急速に変貌している中で、これまで以上に組織内民主主義を徹底し、組織における人的資源の最大活用をはかっていかなければならないと思うのです。
これまでの事前規制と階層(ヒエラルキー)によって組織された社会では、互いの人間関係を重視し仲間内のムラ社会を作って、村八分文化によって反組織的行動を排除したり、「出る釘は打たれる」式の統制によって「安心社会」を作ってきました。その中での選挙ですから、あくまで一般論としてですが、論功行賞人事は当たり前で、組織としての成果をどう評価するかよりも会長としての立場を欲しがる。よって、勢い内向き指向が強くなる。そんな傾向があったように思われます。


ところが、一定の階層は持ちながらも上意下達のヒエラルキーではなく、有機的な横への結合によって様々な変化に対応することが求められる「信頼社会」では、人と人の間の「信頼」がキーワードになる組織づくりが必要になります。つまり、人の能力や行動をある程度把握した上で、「あの人がそういうのであればそれなりの「理屈」があるのだろう」という信頼に基づく関係を重視する組織になることが求められるのだと思います。そこでは、「好き・嫌い」ではなく、「論理性」が重要視されることになります。
これからの組織 -信頼と理屈のバランスを求められる空間-
「安心社会」は、組織の閉鎖性を重視し、中の人の関係を固定化することによって安定を保つことが重視されますが、「信頼社会」で重要なことは、外界志向です。「外に出たら10人の敵がいる」ということです。内向きでは外の敵が見えません。外の変化に敏感で、その変化に対応できる能力を持つことが重要なのだと思います。
まだ、一般的には「安心と信頼」は区分されていないので、分かりづらいことを書いているのかもしれません。しかし、これからの組織づくりにおいて大変重要な理解だと考えています。
これから各都道府県行政書士会の会長選挙、そして、日行連の会長選挙が行われるわけですが、その候補者の皆さんが、「安心社会から信頼社会へ」の移行期であることを理解して、きちんとした政策を掲げ、その人事においても選挙における対立を超えて、会と制度の未来にとって有用な人材を多く登用し、説明責任を果たすことを願ってやみません。

安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方
山岸 俊男
中央公論新社 (1999/06)
売り上げランキング: 73425

最近の記事

  1. てんめい尽語
  2. てんめい尽語
  3. てんめい尽語
  4. てんめい尽語
  5. てんめい尽語
PAGE TOP